料理とコンセプト

料理とコンセプト

ここ沢乙に集う旬。その素地の美しさを磨くように。
天地の恵みが持つ滋味深い甘みを、うちみ流懐石で

懐石料理。茶の湯と禅宗の邂逅により生まれたその概念は、根本に「こころづくしのもてなし」を有しています。
『うちみ旅館』では、この「こころづくしのもてなし=思いやり」を身上にしております。

当館の目の前を流れる榎川から派生する砂押川は、平安の昔より船が行き交う水運の重要河川でした。
今なお利府は交通そして物流の要衝であり、手をのばせばすぐに、表松島・浦戸諸島の良質な海の幸と内陸の里山の幸とを手に取ることができる恵まれた地です。
たくさんの沢に囲まれた宿の周辺では、天から降った恵みの水が大地にしみてミネラルをたっぷり吸い、そのおかげで美味しい米や野菜が育っています。
その地の利を十分に活かし、主人自らその時季その瞬間のおいしい素材を見極め、手間ひまかけて持ち味をとことん生かした料理をご用意いたします。

また、お客様の心によりそいお好みやご要望をこまめにお伺いすることで、曇りのないご満足を楽しんで戴けるよう心がけております。
食材の選択はもちろん、味の好みやご提供のスタイルなどのご要望も、どうぞご遠慮なくお申し付けください。

うちみ流懐石

懐に石を抱き、暖をとるように。茶をおいしく味わうための食事のように。
客人の心に寄り添い、今できることを最大限に行う「こころづくしのもてなし」。

向付

御予約の3日程前に三陸の旬魚を神経〆にして昆布〆に。
毎日水分をふき取り、予約当日に旨味の頂点でご用意します。
あしらいは表松島浦戸の一番摘み海苔や旬を見極めた露地野菜。
加減正油が自身の持ち味を引きたてます。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)仙台湾紅葉鯛昆布〆 加減正油 ちぢみ雪菜 浦戸一番摘み海苔

椀盛

日本料理の主役、椀盛は、みやぎの旬の魚介と引き立て合う相性の良い里山野菜を組み合わせる。
吸地は、沢乙の名水と鮪節・天然昆布でひきたてをご準備いたします。
懐石料理の華に最高級のまきえの漆器を使います。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)三陸吉次・扇大根 清まし仕立て 源流クレソン

御造里

三陸の旬の魚介を昆布〆・酢〆などで手をほどこし、熟成具合を見極めます。
里山の力強い露地野菜を添えて。柑橘系造り正油にて。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)三陸ひがしもの・金華鯖・槍烏賊・紫雲丹 里山野菜と共に

焼物

旬の鮮魚「ひとしお」
三陸の鮮魚に優しい塩加減をほどこし、4~5日ねかせ、旨味を引き出します。
九代目自らお座敷で炭火で焼きあげおもてなしいたします。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)金華山沖鰆ひと塩 里山焼野菜

炊合

京料理の出会い物をみやぎの海と山里の良質な食材で表現いたします。
それぞれ別々の鍋にたっぷりの出汁でことことしっかり炊いて滋味深い味わいに。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)松島穴子鳴門巻 菊花蕪含め煮 針柚子

強肴

おもてなしの心でもう一品。その時期にしか味わえない厳選素材をご用意いたします。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)夏の岩牡蠣・冬の真牡蠣 お好みの調理法にて

小鍋

仙台牛と里山の季節の露地野菜を使ったすきやきを炊き立てのごはんと合わせます。
放し飼いの鶏卵と共に。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)仙台牛ときのこのすきやき さわおと特製割下にて

御飯

みやぎ利府の清らかな土壌から実る源流米。
はせ掛け・棒掛けの自然乾燥米を宿から湧き出す鉱泉水で炊きあげております。
タイミングをのがさず、炊き立て煮えばなで。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)一文字御飯・里山の旬を添えて

水菓子

季節の甘味・デザートは、宿の料理人でもある若女将お手製です。

※季節・仕入れにより内容は変更となります。 一例)利府梨杏仁豆腐

里の恵み

秘められた真実を引き出す
素材の旨さは、よい水とよい土から。

樹木がつくり出した緑のトンネルが訪れる旅人を迎えます。

うちみ旅館の周りは、沢や畑や田園など里山の風景に囲まれています。
そんな心なごむ樹木や沢の春の景色には、カタクリ、イカリ草、山吹などの山野草の花がいっせいに咲き誇ります。
山もみじ、山桜、楓の樹木も、新緑や紅葉を楽しませてくれます。

日本料理は水の料理と呼ばれ、薄茶をたてるにも、だしを引くにも米を炊くにも水が美味しいことが大前提。
宿周辺は沢の源流に囲まれており、天から降った恵みの水が川となり、大地に染みて、ミネラルをたっぷりと吸った米や野菜が育ちます。
また、その水が浄化されて鉱泉水として調理できることで、更に料理に奥深さを与えてくれるのです。

利府の里山の生産者が耕す畑から収穫される野菜には独特な甘味がある。
それは、堆肥をまぜ、手で虫や雑草を取りのぞくことによって無農薬で野菜づくりをしているから。
何年もの歳月をかけてしっかりと土づくりをした畑で育った野菜は、そのものに生命がまだ宿っている段階で、下処理・下ゆですることによってその物自体の力強い甘味や風味を生かした料理が出来上がります。

宿から車で15分。利府には表松島・浜田・須賀(通称ハマスカ)という漁港があり、良質な季節の魚介やわかめ・海苔などの海産物があります。
また、名勝「馬の背」からは松島湾・浦戸諸島全域を眺め・楽しむことができます。

朝食

古き良き日本の食卓を、最上の素材と仕立てで
炊き立て・煮えばなのごはん、そのおいしさは日本の心。

日本人にとって、炊きたてのごはんこそが最高の御馳走。

一日の活力を養う大切な朝食に、米本来の香りと旨み、みずみずしさを堪能できる
精米したての炊きたてを味わって戴くことが、最上の贅沢だと考えております。
お料理には、「めしのとも」として優秀な自家製のお新香や、鰯の丸干し、昆布の佃煮などを少しずつ多彩に用意。
手造りのしそ巻や笹かまぼこ、ずんだもちといった宮城ならではの味わいも添えました。
昔ながらの木樽仕込みの生きた味噌と野菜を使ったみそ汁の味わいが郷愁をさそいます。
炊きたてごはんのおいしさを、地場の食材や調理法で仕立てたおかずでたっぷりと。
おかわりのお声を楽しみにお待ちしております。